米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

直木賞受賞作家

第86話 歴史小説から人生を学ぶ 「教養としての歴史小説」今村翔吾(ダイヤモンド社)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 初版2023年。歴史小説家による歴史小説を教養として読むことを勧める本。著者今村翔吾は小学生5年の時に池波正太郎の「真田太平記」を読み始めてから、歴史小説を読むことが好きになり、多くの歴史小説を読み、その経験を生かして歴史小説家になっ…

第75話 芝居の魅力と仇討ちの忠義を描く時代小説ミステリー「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子(新潮社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2023年出版。第169回直木賞・山本周五郎賞W受賞作品。 江戸木挽町にある芝居小屋森田座にて「あだ討ち」があった。芝居小屋で働く者の回想を基にした語りを聞く内に、各章わかりやすい文章で丁寧に「あだ討ち」の様子が語られていくが、最後の…

第66話 荒木村重のリーダーシップと黒田官兵衛の推理 「黒牢城」米澤穂信(角川書店)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 第166回直木賞受賞、第12回山田風太郎賞受賞W受賞、4大ミステリランキング完全制覇、2022年本屋大賞ノミネート、ミステリ作品で定評のある米澤穂信による歴史ミステリ小説。絶対面白いでしょと読む。 本能寺の変より四年前、天正六年の冬。 織田…

第65話 恋愛の多様性 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」江國香織(集英社文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 第15回山本周五郎賞受賞作品。 独立した10編の女性が主人公の恋愛短編小説で、それぞれ楽しめる。 各作品は好き嫌いが分かれるだろうが、江國香織の文章技術は素晴らしいと思わせる。余分な言葉を削って、必要最低限の言葉で、イメージを的確に結…

第64話 恋愛の箴言集 「肩ごしの恋人」唯川恵(集英社文庫)

3⭐️⭐️⭐️ 欲しいものは欲しい、結婚3回目の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは―。女の…

第63話 恋愛を十分理解できる 「恋愛中毒」山本文緒(角川文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 恋愛小説を比較して色々な恋の形を知れればと思い、恋愛小説をまとめて読もうと思ってまず初めに手に取って読んだのがこの「恋愛中毒」。裏表紙には恋愛小説の最高傑作と書いてある。山本文緒氏はこの作品で第20回吉川英治文学新人賞受賞の後、「…

第42話 ネット社会以前のテロ事件「テロリストのパラソル」藤原伊織(講談社文庫)

3⭐️⭐️⭐️ 史上初の江戸川乱歩賞&直木賞のW受賞作とあるので期待。「東西ミステリーベスト100 死ぬまで使えるブックガイド。」 文芸春秋 平成25年1月4日発行 で国内編のベスト47位 。 大まかなストーリーは、アル中のバーテンダーの島村は、新宿中…