米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

第78話 エロスとポリス「RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠」柴田よしき(角川文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 1995年初版。第15回横溝正史賞受賞作品 RIKOシリーズ三部作の第一作。30年前の作者のデビュー作だが、今なお読み応えがある。 男性優位の警察組織で、放埓だけれども、芯を通して生きる女性刑事・村上緑子(リコ)。彼女のチームは新宿のビデオ店か…

第76話 あの1行の前後をどう実写化?!日本版そして誰もいなくなった!「十角館の殺人」綾辻行人(講談社文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 1987年初版のベストセラー本格推理小説。 丁度最近たまたま実写化されるのを知った。2024年3月22日に配信されるようである。この推理小説を実写化するのは難しそうだ。事件の謎が解明するある1行があって、それを読む前と後との内容を表現するの…

第75話 芝居の魅力と仇討ちの忠義を描く時代小説ミステリー「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子(新潮社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2023年出版。第169回直木賞・山本周五郎賞W受賞作品。 江戸木挽町にある芝居小屋森田座にて「あだ討ち」があった。芝居小屋で働く者の回想を基にした語りを聞く内に、各章わかりやすい文章で丁寧に「あだ討ち」の様子が語られていくが、最後の…

第70話 キリスト教世界の父殺しミステリー「カラマーゾフの兄弟1~5」ドストエフスキー亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 亀山郁夫訳「カラマーゾフの兄弟」を長い間積ん読してきたが、遂に全5巻一気に読み終わった。詳細を読み込むと到底一回読むだけでは理解できない膨大で難解な小説。とは言え、大まかなあらすじを追った読み方でも十分に楽しめる。完璧に読み込む…

第66話 荒木村重のリーダーシップと黒田官兵衛の推理 「黒牢城」米澤穂信(角川書店)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 第166回直木賞受賞、第12回山田風太郎賞受賞W受賞、4大ミステリランキング完全制覇、2022年本屋大賞ノミネート、ミステリ作品で定評のある米澤穂信による歴史ミステリ小説。絶対面白いでしょと読む。 本能寺の変より四年前、天正六年の冬。 織田…

第42話 ネット社会以前のテロ事件「テロリストのパラソル」藤原伊織(講談社文庫)

3⭐️⭐️⭐️ 史上初の江戸川乱歩賞&直木賞のW受賞作とあるので期待。「東西ミステリーベスト100 死ぬまで使えるブックガイド。」 文芸春秋 平成25年1月4日発行 で国内編のベスト47位 。 大まかなストーリーは、アル中のバーテンダーの島村は、新宿中…