米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

第29話 ロボット工学三原則「われはロボット」アイザック・アシモフ(ハヤカワ文庫SF)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ AIのトピックが声高に語られるようになり、それと同時にこの本の冒頭にある、ロボット工学三原則もAI時代にふさわしい原則として頻繁に取り上げられることが多くなってきた。この原則は小説家アイザック・アシモフが考えたものであるが、彼のロボ…

第28話 好きなことしかやらない「からだの見方」養老孟司(ちくま文庫)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 「見方」三部作の前二作は口述だったせいか、重みを感じなかったが、本作は丁寧に書かれている。サントリー学術賞をとったこともあり、読み応えがある。 本作で大切だと思ったのは、下記に引用したことにもある通り、好きなことをやる、それより…

第27話 自分は主体的ではない「寝ながら学べる構造主義」内田樹(文春新書)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 名著としてこの本は名高い。以前から気になっていたところ、読んでみて深い知見に感動した。この本の引用(下記参照)の多さから、新しいことをかなり多く学んだし、既知の知識も整理された。しかもその内容も著者の力が無ければ、わからないま…

第26話 ソシュール批判の書「国語学原論(上)(下)(続篇)」時枝誠記(岩波文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 古い書物で、慣れない用語もあるし、わかりづらい。この本の主張は、言語の本質である主体性に迫りながら、ソシュールの説を言語論として批判していることに尽きる。その本質に迫る立場を言語過程説と呼んでいる。 「(上)p26言語研究の究極の課…