米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

恋愛

第78話 エロスとポリス「RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠」柴田よしき(角川文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 1995年初版。第15回横溝正史賞受賞作品 RIKOシリーズ三部作の第一作。30年前の作者のデビュー作だが、今なお読み応えがある。 男性優位の警察組織で、放埓だけれども、芯を通して生きる女性刑事・村上緑子(リコ)。彼女のチームは新宿のビデオ店か…

第74話 会話が面白すぎる優れた文学作品「君の膵臓をたべたい」住野よる(双葉社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2016年年間ベストセラー第1位。青春恋愛小説。 同じ高校のクラスメイト同士であり図書委員でもある僕と山内桜良の非常に面白くしばしば笑ってしまう会話のやり取りを中心に端正に文学的に表現していて読んでいて心地よい。 単行本で280ページ…

第65話 恋愛の多様性 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」江國香織(集英社文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 第15回山本周五郎賞受賞作品。 独立した10編の女性が主人公の恋愛短編小説で、それぞれ楽しめる。 各作品は好き嫌いが分かれるだろうが、江國香織の文章技術は素晴らしいと思わせる。余分な言葉を削って、必要最低限の言葉で、イメージを的確に結…

第64話 恋愛の箴言集 「肩ごしの恋人」唯川恵(集英社文庫)

3⭐️⭐️⭐️ 欲しいものは欲しい、結婚3回目の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは―。女の…

第63話 恋愛を十分理解できる 「恋愛中毒」山本文緒(角川文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 恋愛小説を比較して色々な恋の形を知れればと思い、恋愛小説をまとめて読もうと思ってまず初めに手に取って読んだのがこの「恋愛中毒」。裏表紙には恋愛小説の最高傑作と書いてある。山本文緒氏はこの作品で第20回吉川英治文学新人賞受賞の後、「…