米山隆一郎書評集

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第64話 恋愛の箴言集 「肩ごしの恋人」唯川恵(集英社文庫)

3⭐️⭐️⭐️

欲しいものは欲しい、結婚3回目の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは―。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた第126回(2001年下半期)直木賞受賞作。

米倉涼子高岡早紀の出演によるドラマも放送された。

この作品のタイトル「肩ごしの恋人」とは、「『恋愛』を正面に見据えた生き方より、自分が目指す目標に向かって突き進んで生きていく中で、気が付くと肩ごしに恋人が見える生き方の方が幸せになれる」という意味がこめられている。

アフォリズムが適度にちりばめられている。

アフォリズムが心地いい。講釈垂れず、女がどうだの結婚やらセックスがどうだのとさらっとした言い切り文句は、聞き入れても聞き入れなくてもどちらでも気が楽だ。自分くらい自分の人生のために行動しなければ、と改めて心に言い聞かせる。