米山隆一郎書評集

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第66話 荒木村重のリーダーシップと黒田官兵衛の推理 「黒牢城」米澤穂信(角川書店)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

第166回直木賞受賞、第12回山田風太郎賞受賞W受賞、4大ミステリランキング完全制覇、2022年本屋大賞ノミネート、ミステリ作品で定評のある米澤穂信による歴史ミステリ小説。絶対面白いでしょと読む。

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。 織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。 動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求める4篇。

多少文語体が用いられているため、読み進めるのに遅くなりがちだが、内容はとても面白い。戦国時代特有の魅力と純粋な謎解きの面白さの融合した世界観。城主荒木村重はリーダーシップを発揮しなければならない一方で、事件解決に行き詰まると囚人の黒田官兵衛に相談を持ち掛けて解決を試みる4つのストーリーがどれも緻密につくられている。