4⭐️⭐️⭐️⭐️
第15回山本周五郎賞受賞作品。
独立した10編の女性が主人公の恋愛短編小説で、それぞれ楽しめる。
各作品は好き嫌いが分かれるだろうが、江國香織の文章技術は素晴らしいと思わせる。余分な言葉を削って、必要最低限の言葉で、イメージを的確に結ばせる技術と、豊富な語彙力から適切な語彙による描写で、複雑なことも素晴らしい表現力で描写している。
10編の物語が様々な恋の形を描いていて恋も言うまでもなく多様なのだ。表題「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」はアメリカで見た看板だそうだが、恋愛にも当てはまると書いてある。恋愛するのに安全でも適切でもありませんということだろう。どの作品も面白く読み応えがある。