米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第42話 ネット社会以前のテロ事件「テロリストのパラソル」藤原伊織(講談社文庫)

3⭐️⭐️⭐️

史上初の江戸川乱歩賞直木賞のW受賞作とあるので期待。
「東西ミステリーベスト100 死ぬまで使えるブックガイド。」 文芸春秋 平成25年1月4日発行 で国内編のベスト47位 。

大まかなストーリーは、
アル中のバーテンダーの島村は、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇 。島村はその爆発の直前ある少女と公園で会話を交わす。彼女の父親は公安の大物であり、彼もテロの犠牲者に。

この爆破テロで死者は18人、負傷者が47人。島村が過去に3ヵ月だけ同居していた女で園堂優子の娘と名乗る松下塔子が店に現れ、その優子は今回の事件で亡くなっていることを知る。優子の父は大蔵省出身の元大臣。大学生時代の学生闘争を共にした桑野もまたこの爆破事件で死亡したと聞かされるが・・・。

 

この作品は1995年に出版されたので、時代背景はやはり今となっては古い印象を受ける。作品の中では学生運動の時代までさかのぼる場面もある。
携帯電話が普及する以前であり、作品中にパソコンが登場するが、新聞のデータベースにアクセスできることだけが機能として書かれている。 インターネットが一般的に普及する前の話。
読み終わったあと、評価の高さや期待したほどには面白い作品とは思わなかった。驚くようなトリックもないし、話の展開に意外性を感じられない。

テロリストのパラソル (角川文庫)

テロリストのパラソル (角川文庫)