米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第55話 人体実験と倫理「海と毒薬」遠藤周作(新潮文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 初版1957年の作品。太平洋戦争中に、捕虜となった米兵が日本の九州大学病院で臨床実験の被験者として使用された事件を題材とした罪悪感を問う小説である。 この作品の中で「平凡な倖せを楽しめばいい。何もないこと、何も起らないこと。平凡である…

第54話 お得な辺境ポジション「日本辺境論」内田樹(新潮新書)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 初版2009年。著者内田樹はこの本の要約を梅棹忠夫の「文明の生態史観」の次のような文章を引用して述べています。 「日本人にも自尊心はあるけれども、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている。それは、現に保有している文化水…

第53話 リラックスして臨む「大局観」羽生善治(角川oneテーマ21)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐ 羽生善治の「決断力」(角川oneテーマ21)がとても良かったので、続編である本作も迷わず、読んだ、と言っても10年前の話。そして、メモがあったので、そこから書評にしてみる。書籍も手元にあるが、敢えてメモから。 「集中力を高める3つ」として…

第52話 継続は力なり「独学大全 」読書猿(ダイヤモンド社)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 厚さと内容からまさに独学の百科事典の様相を呈している。 まず、夏目漱石と徳川家康の言葉を引用して、焦らないこと、急がないこと、の重要性を説いている。 結局この本で一番言いたかった事を一言で表すと、下記にあるように、継続は力なり、に…

第51話 数学をモノにする「数学ガール」「数学ガール フェルマーの最終定理【途中まで】」結城浩(SBクリエイティブ)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 『数学ガール』は、プログラマー結城浩による、数学を主題にした小説で、その後のシリーズ名でもある。2007年に第1作『数学ガール』が刊行その後、第2作『フェルマーの最終定理』、第3作『ゲーデルの不完全性定理』、第4作『乱択アルゴリズム』…