米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第83話 文学と研究「日本文学の論じ方ー体系的研究法ー」鈴木貞美(世界思想社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2014年初版。文学研究する人のために書かれた本で、著者が北京の清華大学で2013年から翌年にかけて講義したものをもとにしたもの。5章から成る。著者は国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学名誉教授。専門は文芸批評、日本文芸文化史。…

第82話 世界の情報を英語で知る 「シンプルな英語」中山裕木子(講談社現代新書)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2021年初版。 日本人には英語が難しいというが、当たり前だ。日本語と英語では文の構造も表記も全然違う。難しいものはシンプルに考えた方が良いと相場が決まっている。 日本人は明治の始まりより前であれば漢文を読めることが普通だったらしい…

第81話 Fictionは研究方法も様々 「ハンドブック 日本近代文学研究の方法」日本近代文学会編(ひつじ書房)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 2016年初版。 近代文学作品に対するアプローチは近年多様化している。作家を中心に扱うものよりも、作家から自立したテクストを中心に把握するテクスト論が主流になってきている。さらに時代・社会的な文脈や文化的な記号性を重視するカルチュラル…

第80話 未読文学山脈 「日本の近代文学」三好行雄(はなわ新書)

4⭐️⭐️⭐️⭐️ 初版1972年。 Ⅰ.近代文学の流れ、では明治期の始まりから昭和33年の開高健と大江健三郎が芥川賞を受賞する所までの文学史をひたすら詳しく主に事実の列挙という形で書かれている。著者の知識の多さに脱帽する。よく〜主義や〜派などという表現が出…

第79話 スーパースター漱石・芥川 「日本の近代小説」中村光夫(岩波新書)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 初版1954年。 この本の近代は明治・大正期で、芥川竜之介が昭和2年に自死するまでの小説史が解説されている。 日本の近代小説の初期に重要な小説家は坪内逍遥で、それからさまざまな小説家が登場する。 著者の文章の流れが明解で、説明が詳しく…