米山隆一郎書評集

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第77話 ほぼ完璧な日本語という言語「日本語 新版(下)金田一春彦(岩波新書)」

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

1988年初版。
上巻は、世界の中の日本語、発音、語彙。

下巻は、日本語の漢字について、日本語文法、日本語のこれから、の三つからなり主に日本語文法を扱っている。

文法は日本語の文法と外国語の文法を比較することで日本語文法の特徴を浮き彫りにし、世界でも日本語が十分立派な言語であるということを示している。

日本語のこれからについては、35年前の予想なので当たっている所当たっていない所があるが、35年前の予想よりも言語環境が遥かに進化している。

日本語自体は多少変わったが微々たるもの。35年前と比べて感覚として日本語の98%は変わっていない気がする。新語が出てきては淘汰されている。

最近目にするのは英語の頭字語(acronym)で略語(abbreviation)を作るということで、例えばJAXAJapan Aerospace Exploration Agencyの略称で、日本語の正式名称は「宇宙航空研究開発機構」のことなのだが、このままJAXAで表記している。この英語の略語表記が急に増えた気がする。一方、日本国憲法などは古く分かりにくい日本語のままである。

日本語 新版 下 (岩波新書 新赤版 3)