米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第78話 エロスとポリス「RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠」柴田よしき(角川文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

1995年初版。第15回横溝正史賞受賞作品

RIKOシリーズ三部作の第一作。30年前の作者のデビュー作だが、今なお読み応えがある。

男性優位の警察組織で、放埓だけれども、芯を通して生きる女性刑事・村上緑子(リコ)。彼女のチームは新宿のビデオ店から1本の裏ビデオを押収。そこには男が男を犯すという残虐な輪姦シーンが。やがてビデオの被害者が殺されていく。真相に迫る中、少しずつ明るみになることに驚愕を隠せない。

警察推理小説の部分は事件が複雑で、更に主人公緑子の奔放な恋愛・性愛を織り交ぜて1つのストーリーに組み立てている。

デビュー作にして作者の才能や力量が惜しみなく発揮されている作品と言える。話の展開は、ジェットコースターに乗ったように冒頭部分はゆっくりだが、途中で高速になりそのまま読了となった。

読了後に作者は女性ということを知って合点したのは、女性ならではの恋愛・性愛の描き方をしているという点だ。性愛小説や恋愛小説という面でも成功している。

RIKO ─女神の永遠─ 「RIKO」シリーズ (角川文庫)