米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第52話 継続は力なり「独学大全 」読書猿(ダイヤモンド社)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

厚さと内容からまさに独学の百科事典の様相を呈している。

まず、夏目漱石徳川家康の言葉を引用して、焦らないこと、急がないこと、の重要性を説いている。

結局この本で一番言いたかった事を一言で表すと、下記にあるように、継続は力なり、になると思う。

「学問は、ただ年月長く倦まず怠らず、励みつとめることが肝要なのだ。学び方はどのようであってもよく、さほどこだわることはない。どんなに学び方がよくても、怠けてしまってはその成果はおぼつかない。」

「独学を始めることは難しくない。しかし続けることは容易くない。我々の誰もが継続の重要性を理解している。しかしまた計画倒れを経験してもいる。続けることの難しさを痛感している。」

「学び続けることは、うまく学ぶことよりもずっと難しく、また遥かに重要である。」

「まず始めろ。あとはやり続ける。」

そして、次にどのように独学するかよりも、何を独学するか、が大事である。独学の対象の選択も大事で、自分にできることや得意なことを独学した方が良いと思う。成果が変わってくるからだ。

「事を成し遂げるために絶対に必要で、決定的に影響を与えるのは、手をつけること、着手すること。」

「<how to doどのようにすべきか>よりも<what to do何をすべきか>の方が、根本的であり、効果が大きく、優先順位が高い。」

「「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」かが大事だし、「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重大」

より深い理解を得るための独学として様々な方法が取り上げられている。以下にあるものは納得して役立つと思っていること。

「情報検索の基本はこの<粗から密へ>である。」

「事実と合致しないような信念は避けた方がいい。事実と合致しない信念を取り込むと、その信念と合致しない他の信念を持つことが辛くなってくる。認知的不協和ってやつだな。人間の心は一貫性を尊ぶ。」

「一度読んだらやめられないメチャクチャ面白い本を夢中になって読んだ。」いう体験が大切

「理解は最高の記憶法である。理解するという覚え方は忘れにくく、記憶した事項を再生しやすく、また応用しやすい。しかしまた理解はコストの面でも最高の記憶法である。」

「逆にできる奴は自分の能力の限界をわきまえているから、できることとできないことを切り分ける。何もかもやるのは不可能だと見切って、捨てるものは捨て、重要なことに注力する。そして有限のリソースを有効利用しようと工夫する。」

これだけ分厚い独学に特化した本が出ると思わなかった。