米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第25話 楽して英語は身につかない「めざせ達人!英語道場」斎藤兆史(ちくま新書)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

再読。斎藤兆史先生の本はこれまで新書で4冊読んできた。英語達人の本、英語達人になる本、教養についての本、努力についての本、今回紹介する本はまたも英語達人になる本である。そして、忘れていたがとても大事なことが書かれていて、ハッと目が覚めた。やはり簡単に出来る事を謳うことは王道とはかけ離れているということ。

最近次の3つの方法を知る。
①このブログの第9話「快諾100万語!」では洋書を読むのに辞書を引かないで、話がわからなくなったら、読むのを止める。②最近のNHKの実践ビジネス英語では、英文のポイントとなる英単語は調べて、それ以外のわからない語を調べていると切りがない。③本作は英文学で、わからない英単語は片っ端から辞書を引く。

①は間違った方法のように感じるようになった。

キーワード

王道、三昧、毎日、日本語、精読、多読、語彙力の増強、読解、辞書を引く、ラッセ

下記引用、数字はページ数

3 ・人の営みには基本があり、技芸を成就するための王道がある。しかしながら、基本は単純ながら楽に実践できるものではなく、王道はまっすぐの一本道ながら平坦ではない。そのため、人は時として楽な方策を模索し、(略)といった謡い文句に誘われて迷路に入り込む。ところが、一旦そこに迷い込んでしまうと、王道に戻るのが極めて難しい。結局は最初から苦労してでも王道を歩んだほうが目的地に早く着くことができる。

4英語学習においても、基本は同じ。当たり前の努力をしてもらうほかない。

5「役に立つ」という発想と教養とはむしろ対極にあるものである。

6私の答えはこうである。どうやったら単語が効率よく覚えられるか、と感じているうちは、やり方を工夫したところでさほど語彙力の向上は望めない。覚えるまでとにかくいろいろやってみるという発想で勉強すること。目標から逆算するのである。そしてそれを遂行するには地道な努力をするしかない。

7どうやったら英語が得意になるかと学習法を工夫する段階を脱し、無我夢中で英語学習に没頭する時期を経なければならない。『努力論』で論じた「三昧」の境地を経験する必要があるのだ。その三昧境になる長く留まった者の中から、名人上手と呼ばれる人が出てくる。

9重要なのは「個人個人の好みと力量に合わせて......熱心に毎日行う」ことである。

36・学校で習う英語は(略)基礎の基礎

・日本語を大事にすること

・まずは教養ある日本語の使い手を目指すこと

38教養ある英語を身につけるためには、文学的な文章を多読することが必須の修行法となる。

45辞書を引き引き英文を精読する伝統的な学習法が実用的な英語力の育成に役立たなかった、との誤解があるだろうか

46精読ができるようになれば、いずれそのような読み方もできるようになる。

47・いずれにせよ、辞書を引かずして英語運用のための基礎体力がつくことはまずない

・少なくとも自宅学習用には紙の辞書を勧めることにしている

48読み教材といっても、別に「英文読解」や「英文解釈」に特化した学習書や参考書は買う必要ない。

50・私は、少なくとも最初は受験対策としてラッセルを多読したおかげでだいぶ英語力がついたと思っている

・何度でも読むに値する

ラッセルの英語のリズムを身につけておけば、どのような英語を学ぶにせよ、その先の伸びがちがう

57毎日かならず稽古を積むことが必要

75・とにかく基礎をしっかり固めて、それが応用できるように訓練を積む。それだけである。

・大事なのが語彙力の増強。

・とにかく知らない単語は片っ端から辞書で調べる。そして、語彙学習を中心的な課業としているときには、調べた内容を単語帳に書き付ける。

100文法・訳読も口頭でのコミュニケーションも、どちらもバランスよく学ばなくてはいけないのである。

101・発音記号も早いうちに覚えておくこと。

・標準的な英語で用いられる音に対応する記号は50個程度、そのうち日本人が苦手な発音に対応するものはせいぜい10個程度である。

・できれば何となく分かる、あるいはすでに内容を確認している音声を流すのがいいだろう。

102・(リスニング教材)を引っ張り出して、部屋の片付けなど、とくに神経を集中して行う必要のない作業をしているときに流しておく。

・英語放送を流して聞き流すのも一法である。

104・ディクテーションはこれはこれで有効な勉強である

・英語学習においては、とにかくいろいろな形で英語を身体に練り込んでいくことが大事

105・私としては、聴解が得意になりたい学習者は、むしろ次に述べる速読練習、さらにはその延長線上にある字幕速読練習にもっと力を入れてほしいと思う。さて、その速読だが、基本的には普通の読解教材を速読するのと同じ要領で行えばよい。

・口語体、音声を書き起こした英文

・できるだけ返り読みをせず、音声を処理するのと同じくらいの速度

107多くの場合、つまずきの原因は、音声処理の失敗というよりも語彙や文法の知識不足

109まずは、教養そのものを身につけるべく、文学をはじめとする教養的な内容の書物を多く読むこと

111もしかしたらすべての技芸について言えることなのではないかと思う。上達すればするほど、肩の力を抜いて全体をゆったりと見渡しつつ、肝腎のところはきっちり決めることができるようようになる。

115教養ある英語の使い手となるためには、英語使用におけるどの技術を伸ばすにしても、とにかく読解が一番の基本となることをしっかり理解しておく必要がある。

155まずは一般的な心がけとして、できるだけ英語を使ったり、英語で考える機会を増やすことである。

161私自身は、文法など最初にしっかり教えてしまったほうが手っ取り早い

182みなそれぞれの時代において最大の努力をしたということ