米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第11話 歴史のある有り難さ「Reading and Writing」(V.S.Naipaul)

3⭐️⭐️⭐️

洋書2冊目。

短い本でした。2編ある。理解度は90%位。

1編目が2、3箇所ページが抜けていました。

印象に残ったのは、インド人には自国の歴史がないという認識なんだということと、日本は歴史があって文学の厚みがあり、かつ外国語の文学が翻訳されても違和感なく読める国であるということ。

Reading and Writing: A Personal Account

Reading and Writing: A Personal Account

 

 

 

第10話 穴「HOLES」(Louis Sachar ルイス・サッカー)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

まず洋書で読みました。

182ページまで読んだけど、分からなくなったので、最初から読み直した。

2回目は意味のまとまりを意識して読んだら最後まで読み切った。分からない単語は調べないで読むことにしたが、どうしても分からない単語は出てくる。学校英語は英語を学ぶのにいい方法なのか、など思いながら、理解度は全体の80%くらいだと思います。

 

2022年9月5日翻訳で読みました。

あらすじ

主人公スタンリー・イェルナッツ四世は、盗ってもいないものを盗ったと言われ、裁判で「有罪」に。非行少年にされてしまったスタンリーは、罰として、<グリーン・レイク・キャンプ>なる更生施設に入れられる。この<湖>に一滴も水はない。百年以上も雨が降っていないのだ。少年たちはここで、陽射しのかっと照りつけるなか、日にめいめい一個、シャベルをふるって穴を掘る。

書評

砂漠で穴を掘り続けるのは所長の私利私欲を充たす目的があるのだけれども、それをめぐる色々な伏線の張り方が物語を生き生きとさせている。また情景描写が優れていて実際に砂漠にいるような錯覚に陥る。更生施設であるので仲間がいるが、それぞれあだ名で呼び合うので、仲間意識を感じるように書かれていて人間同士のつながりの物語としても読める。

 

Holes (Holes Series)

Holes (Holes Series)

 

 

 

第9話 意味の塊を掴んで多読「快読100万語!ペーパーバックへの道」酒井邦秀(ちくま学芸文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

ペーパーバックを読むために
「わからないところを飛ばす」
「辞書は引かない」
「和訳しない」
「進まなくなったらただちにやめて次の本に手を出す」

実際読む時に、意識することで大事なことは、長文に見える文も、短い「意味のかたまり」の連続ということ。
頭の中で音読したら、かたまり読みができない。
意味のかたまりを意識することが読む時に一番重要なポイント。

英語力=英語量
量をたくさん読むこと。
一番やさしいレベルからはじめる。
おもしろかったら何度でも読む。

さてさて洋書を読もう。

快読100万語!ペーパーバックへの道 (ちくま学芸文庫)

快読100万語!ペーパーバックへの道 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

第8話 好きこそものの上手なれ「好きなようにしてください」楠木建(ダイヤモンド社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

主に仕事にまつわることに関して、好きなようにするを切り口にとてもバランスの取れた有効な考え方を提示してくれている。とりわけ無努力主義の原則は好きこそものの上手なれであり、努力しようと思った時点でもう向いていないのだ。

好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則
 

 

 

第7話 シンプルに考える「「好き嫌い」と経営」楠木建(東洋経済新報社)

5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

楠木建にハマり出してここまで来た。そして今回著名な経営者たちの好き嫌いを抉り出すというコンセプトで対談集になっている。彼らの胸に響く言葉は以下に引用したが、その中でも出口治明の言葉に意表を突かれ、その深い言葉に感銘を受けた。

原田泳幸

複雑なことを簡単に理解させる。これで初めて相手が行動するわけです。常に簡単に考える。非常にシンプルに考える。

【佐山展生】

自分のことは人に相談をしないことですね。

自分のことは自分が一番わかっていますし、私はみんなが行かない道ばかりを歩んできていて、だから面白いのです。みんなと違う道を歩いてこそ誰も知らない発見や喜びがあるのです。みんなにそんなことできないでしょうと言われたことが、やってみたらできたりしますしね。

人生というのは自作自演のドラマ。自演というのは変えられないが、自作の部分、シナリオは自分で変えられます。人生が面白くないなら自分でシナリオを面白く作り替えればいい。

悩みは案外ちっぽけなものでしかないことがわかることや、また今ある世界がすべてではない。

結局人間は自分が一番自分のことをわかっている。自分が好きなことをやって力を発揮する。

藤田晋

本当に好きなことだったらパワーが出るし、好きじゃなかったら出ない。結局そういうところで自分自身が勝負する土俵が決まっていくのだろうと思う。

出口治明

一番つまらない生き方は何か。それは人生の目的のために一心不乱になること。川の流れのように自然に流れていくのが、一番素晴らしいですから。

楽しければいいと思います。僕は価値観の押しつけが一番嫌いなので。

みんな失敗するんだから、失敗しても何も怖くない。成功したら儲けもの、という認識がわかったら、気軽にチャレンジできるようになります。

仕事なんかどうでもいいと思っているんですよ。

人間にとって大事なのは、良いパートナーを見つけて楽しい生活を送ることで、仕事なんて価値がない。価値がないものだったら、何でそんなもののために上司にごまをするとか、人からどう思われるとか、そんなしょうもないことを考えるんだと。どうでもいいことだったら好きにやればいいじゃないか。思うとおりやって、チャレンジして、いやだったらチェンジすればいい。

仕事で落ち込んだり悩んだりしている人は、人生における仕事の位置づけが間違っている。

人間と人間が作る社会に対する洞察力が欠けている。

小説、飲み、遊び、世界旅行が大事で、仕事なんかどうでもいい。

前澤友作

反省して悪いところを改めるだけじゃなく、自分本来のスタイルや考え方まで変えてしまうと元も子もなくなる。

楠木建

仕事がきついかどうかなどということは、そもそも良し悪しというよりその人の好き嫌いで決まる。

向いてなかったら次行ってみよう!というのが正しい姿勢。

 

「好き嫌い」と経営

「好き嫌い」と経営

 

 

 

第6話 面白がる・読書コスパ最強・ブレない「戦略読書日記」楠木建(プレジデント社)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

本書は 楠木建の前作「ストーリーとしての競争戦略」の内容を書評で具体化するというコンセプトです。文章はゴツゴツしているけれども、内容はとても良かったです。

本人が面白がっていること。自分で心底面白くなければ、人がついてくるわけがない。ただし、誰もが喜ぶということは、本当に喜ぶ人は誰もいないのと同じこと。優秀な人というのは面白がる才能の持ち主だ。面白がる才能は人間の能力の本質のど真ん中といってもよい。時間をかけてでもそうした才能を開発できるかどうか、ここに本質的な分かれ目がある。自分が好きなこと、面白いと思うことを仕事にする。面白いからのめりこめる。普通の人にはできないような努力を投入できる。好きこそものの上手なれで優れた成果が生まれる。だから世の中と人の役に立つ、やりがいを感じる、ますます仕事が面白くなる。

自分にとって切実なものは何か、理屈抜きの自分の血の騒ぎは何なのか、そういう自問自答が戦略ストーリーの起点にあり、終点になければならない。自分にとって切実なもの、それが戦略の原点であり、頂点である。

自分でよくわかっていることしか書いていないということ。中途半端にしか理解していないことは書いていない。

情報の豊かさは注意の貧困をつくる。情報は、集めるな・整理するな・覚えるな。情報のインプットを増やしていけば、自然とアウトプットが豊かになるということは絶対にない。

物事の順番にこだわる。

勉強の王道読書。読書はコストパフォーマンスが最強。もう現代社会の奇跡といっていい。現代社会の到達した豊かさは読書に象徴されている。

勉強の面白さは、ひとえに知識の質に関係している。上質な知識とは何か。それは論理。論理化されていればことさらに新しい知識を外から取り入れなくても、自分の中にある知識が知識を生むという好循環が起きる。

知的活動とは、ようするに抽象と具体の把握だと僕は考えている。抽象と具体の往復の幅広さと頻度とスピードを指していることが多いと思う。具体をいったん抽象化して、抽象化によって本質をつかみそこから得られた洞察を再び具体的なモノなり活動に反映していく。

長所と短所はまったく同じもの(その人の個性)。長所を伸ばして、短所を直すという考え方は、そもそもありえないと思っています

人間として最上の美徳は素直さであること。実績や経歴や能力よりも素直さ。

深い洞察からくる信念に根差した哲学があれば思考と行動がぶれない。だから意思決定も早くなる。自分の持ち場で、一所懸命に生きることがいちばん自然な形。こちらがブレなければ相手が勝手にブレてくれる。

どんな仕事であれまずセンスありき。自分のセンスをつかみ、芸風を意識的に育て、それにフィットするように仕事をすることは決定的に重要だ。スタイルが決めて。芸風はただ一つ。仕事でプロとして生きていくことは、そもそも自分の芸風と心中するということだ。

戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>

戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>

 

 

 

第5話 問題の絞り込み「イシューからはじめよ」安宅和人(英治出版)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

この本で犬の道とは、問題の発見に膨大な手数を必要とする方法。しかし、イシュー(問題)の絞り込みをすることで時間と労力が大幅に減らすことができるということがこの本の趣旨である。

他に仮説通りは計測、反する場合は発見のフェルミの言葉が印象に残った。

それとこの本で発見した2つの記述、

1つ目「認知を高める方法が比較。理解するとは情報をつなぐこと。同じ基準から異なるものを見ることによって、情報と情報のつなぎが発生しやすくなり、理解が進む。何度も情報のつながりを想起せざるを得ない、なるほど!という場面を繰り返し経験していると、その情報を忘れなくなる。同じことの繰り返しよりも、応用される場面を認知すると覚えられる。」

2つ目「60%の完成度を2回が最も速く完成度が高くなる」これは確かに思えた。