米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第22話 世の中の人々の間にある理論「社会学」長谷川公一他(有斐閣)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

社会学がどういう学問なのかという興味関心からこの本を手にした。いつものように思う所を抜き書きしてそれを軸としてこの本を読んだ。
抜き書きを改めてまとめて読んでみると、興味深い。ただし、この有斐閣のニューリベラルアーツセレクションシリーズは心理学関連の方が多岐にわたるので学問としては心理学の方が層が厚いのかもしれない。
有斐閣のニューリベラルアーツセレクションは、心理学を学んだときに使用したテキストで、心理学は良い本であったが社会心理学認知心理学積ん読状態でしばらく読む予定なし。
心理学は人の行動の科学とすると、社会学はそのまま社会の科学なのかなという感じだ。もちろん社会は人間の集まりであるから、人の集まりの科学ということか。期待していたよりも面白かったので良かった。

下記引用、数字はページ

3あくまでも、私を社会のなかに投げ出しながら、そこで眼に映るもの、耳に届くもの、全身をとおして感じ取られるものこそを

3社会は「自分」から始まり、そして社会はつねに「自分」に立ち戻ってきて終わる。

4社会学はフットワークの軽さが必要

4「傷つきやすさ」をつねに受け入れていくちょっとした勇気。

25他人に迷惑をかけない。

26プロクセミクス-人間が空間をどのように利用しているか=泡の中で生活

27儀礼的無関心=一種の演技

33家族のなかでは逆に礼儀正しくふるまうことが不適切とされている。
公共空間と親密空間という2種類の空間を発見することができた。

34勤め人はみじめです(おそらく大多数は)。自分自身の興味は何にあるのかの意識がみつからない、しかたがない。

37ゲマインシャフト-結合
ゲゼルシャフト-分離→敵対的行為

44(電車内での)電話による会話が「擬似的な性的関係」を連想させやすい。

54自己とは他者の相互行為のなかで生じる社会的な現象。

人間の相互行為の特徴は、相互行為に参加している人間が自分の言っていることを自分でわかってるというところにある。

他者の役割のとりいれ。

相手の反応を取り入れて、同じ反応を自分のなかに呼び起こすことができることによって、人間は自分の行動をコントロールできるようになる。

59ダブルコンティンジェンシー-二重の条件依存性-相手の選択に依存
ex)囚人のジレンマ

61役割期待の相補性……期待に従ってハンドルを左に切る。

69相互行為論において「自己」のまとめ
ジンメル、ミード、パーソンズ、ゴフマン

70自己物語

79日常生活は、執拗に尋ねたりしない、過度な探索行為には出ないという、暗黙の約束事に従って、互いが適切な範囲内での応答を繰り返すことで、秩序化されている。

81親と子の間で一定程度の価値や規範の共有があり、共有された価値・規範に基づいてしつけがなされ、コミュニケーションが交わされる場合に、親子間の秩序はもっと安定的である。

159「文字を書くように話す」人たちは多くの語彙を用いて複雑な構造の文をつくりながら話すため、何が言われるか予測がつきにくい代わりに、いったん言われれば、誰でも正確に理解できる。

183リストのはじめのほうに出てきた言葉と終わりのほうに出てきた言葉の再生率が高いことが知られている。

186たとえば、何かを探している最中に、何を探していたのか忘れてしまうことがあるが、そういうとき私たちは探し物を始めた場所に戻ってみる。そうするとたいてい何を探していたのかを思い出すのである。

188社会学は、記憶を研究するとき、心理学のように被験者の頭の中を覗きこもうとするのではない。社会学は、過去が刻まれた空間や物質の配置、またそれらをめぐって営まれる人びとの活動の編成を観察することを通して、記憶を研究するのである。

257同一の対象を自然科学的な手法で研究するのか、人文科学的な手法で研究するのか、社会科学的な手法で研究するのか、そのまなざしの差異にこそ本質的な違いがある。

305センのファーストネームであるアマルティアは「世離れした」「空想好きな」

319七世紀末の日本国成立

395COLUMN12-3

460第2に、そもそも学校に代表される教育という場で「成功」を収めるためには、「学力」以前に、多くの条件を備えていなければならない。たとえば、論理的で文法にかなった話し方、自らの欲求をコントロールし目標に向けて時間を管理する習慣、知的なものに対する興味や関心。

461自分の責任でリスクを負って、自分の目指すものに先駆的に挑戦する『たくましく、しなやかな個』の必要性が強調される。

467「分割し、統治せよ」農民や主婦のような「外部」的存在が資本主義システムのなかでいつまでも消滅しない理由を検討したC.V.ヴェールホフは、その秘密を人種、エスニシティなど多様な社会的地位をまたぎながら重層的に引かれた分割線、そしてそれらがもたらす格差形成や階層の複合的作用を明らかにすることは、社会学に課せられたもっとも重要な課題である。

472FIGURE14-6

488他者のまなざしを意識せずにはいられない社会それが高度消費社会

507 10の100乗をさす数学用語「googol
から社名がとられた「Google

社会学 (New Liberal Arts Selection)

社会学 (New Liberal Arts Selection)