米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第6話 面白がる・読書コスパ最強・ブレない「戦略読書日記」楠木建(プレジデント社)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

本書は 楠木建の前作「ストーリーとしての競争戦略」の内容を書評で具体化するというコンセプトです。文章はゴツゴツしているけれども、内容はとても良かったです。

本人が面白がっていること。自分で心底面白くなければ、人がついてくるわけがない。ただし、誰もが喜ぶということは、本当に喜ぶ人は誰もいないのと同じこと。優秀な人というのは面白がる才能の持ち主だ。面白がる才能は人間の能力の本質のど真ん中といってもよい。時間をかけてでもそうした才能を開発できるかどうか、ここに本質的な分かれ目がある。自分が好きなこと、面白いと思うことを仕事にする。面白いからのめりこめる。普通の人にはできないような努力を投入できる。好きこそものの上手なれで優れた成果が生まれる。だから世の中と人の役に立つ、やりがいを感じる、ますます仕事が面白くなる。

自分にとって切実なものは何か、理屈抜きの自分の血の騒ぎは何なのか、そういう自問自答が戦略ストーリーの起点にあり、終点になければならない。自分にとって切実なもの、それが戦略の原点であり、頂点である。

自分でよくわかっていることしか書いていないということ。中途半端にしか理解していないことは書いていない。

情報の豊かさは注意の貧困をつくる。情報は、集めるな・整理するな・覚えるな。情報のインプットを増やしていけば、自然とアウトプットが豊かになるということは絶対にない。

物事の順番にこだわる。

勉強の王道読書。読書はコストパフォーマンスが最強。もう現代社会の奇跡といっていい。現代社会の到達した豊かさは読書に象徴されている。

勉強の面白さは、ひとえに知識の質に関係している。上質な知識とは何か。それは論理。論理化されていればことさらに新しい知識を外から取り入れなくても、自分の中にある知識が知識を生むという好循環が起きる。

知的活動とは、ようするに抽象と具体の把握だと僕は考えている。抽象と具体の往復の幅広さと頻度とスピードを指していることが多いと思う。具体をいったん抽象化して、抽象化によって本質をつかみそこから得られた洞察を再び具体的なモノなり活動に反映していく。

長所と短所はまったく同じもの(その人の個性)。長所を伸ばして、短所を直すという考え方は、そもそもありえないと思っています

人間として最上の美徳は素直さであること。実績や経歴や能力よりも素直さ。

深い洞察からくる信念に根差した哲学があれば思考と行動がぶれない。だから意思決定も早くなる。自分の持ち場で、一所懸命に生きることがいちばん自然な形。こちらがブレなければ相手が勝手にブレてくれる。

どんな仕事であれまずセンスありき。自分のセンスをつかみ、芸風を意識的に育て、それにフィットするように仕事をすることは決定的に重要だ。スタイルが決めて。芸風はただ一つ。仕事でプロとして生きていくことは、そもそも自分の芸風と心中するということだ。

戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>

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