米山隆一郎書評集

読書記録を楽しむ

第18話 一所懸命やる以外にやりようがない「ヒトの見方」養老孟司(ちくま文庫)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

私の好きな養老孟司による古い本で、結構長い間積ん読していたが読了した。特に解剖学的な専門知識を必要とするところは飛ばして読んだ。そんな中でも名言に出会う。
下記引用

P65「物事をとことん理解するのは、ことほどさように大変である」

P68「やる時は一所懸命やりなさい、としか言いようがない。結果がどうあれ、ものごとはそれ以外にはやりようがない」

P70「世の中にわからぬことがあるくらい癪なことはない」

P72「大学は勉強をするところであり、それには際限がない」

P116「もっぱら食う為に働くか、空いた時間を見つけてさまざまなゲームにはげむか、という問題である。あるいは、実業にはげむか、学問、芸術にはげむか、という問題である。そんなものに既製の答があるわけはない」

P203「本人が楽しんでやっている仕事の良さは、はたから見てもその仕事が楽しい、というところにある」

P301「何事にも人は慣れる。数学が判らない時に、いちばん判っていない状態では、自分は何が判らないのか、がまず判らない。これを昔から、何が何だか判らない、と言う。しばらくすると、どこが判らないのか、判らない所がはっきり判ってくる。本当に話が判るのはそのあと、である。

ヒトの見方 (ちくま文庫)

ヒトの見方 (ちくま文庫)

 

 

 

第15話 ゆっくりと曖昧に失敗を恐れず「できない脳ほど自信過剰」池谷裕二(朝日新聞出版)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

パテカトルの万能薬、第2弾、こちらも長い間積読してました。下記にあるように自分なりのポイント12点。

1、できない人ほど自分はできると勘違いしている傾向。これをダニング=クルーガー効果という。しかし能力の低い人でも訓練で、スキル不足に気づき成長の余地あり。

2、後世への影響が強い論文は、単に革新性が高かっただけでなく、保守性もまた強かったということ。

3、宗教心は、善行を生む良心よりも、悪行をしない良心を生む。

4、褒める「強化」、叱る「弱化」、褒めるだけが学習成績がよい。叱ってはいけない。

5、我慢(精神的に消耗)すると、忍耐力が下がる。この自我消耗を克服する方法は、ブドウ糖の補給。

6、一般に、記憶は正確であっても、高速であっても不都合。ゆっくりと曖昧に覚える。今回の失敗を過去の失敗経験に照らして上手に認識することで上達。プロとはその道のあらゆる失敗を知っていること。

7、ダ・ヴィンチは、興味がないのに勉強しても記憶にとどまらない、つまり興味をもっているときに勉強せよと主張する。

8、尿酸値の高い人は、記憶力や認知機能が高く、また将来に認知症になりにくい。天才達が痛風に悩まされていたという記録あり。

9、遺伝子で定まる特定の才能に固執するより、未開拓の潜在能力に注目したほうが、はるかに健全ですし、素敵な生き方だと思う。

10、一つ独学で試行錯誤で最適解を探すタイプ、二つ成功者の真似タイプ、三つ周囲の平均的な意見に従うタイプ。柔軟に戦略を変える必要があるが、実際には、思考癖になっていて柔軟性が少ないが、集団社会では多様性となり役立っている。

11、単に好きだからやっているだけという人がよい成果をあげている。好きに理由なし。

12、脳の柔軟性がますます重要。未来を自ら造ること。

できない脳ほど自信過剰

できない脳ほど自信過剰

 

 

 

第14話 脳細胞は減らない「脳はなにげに不公平」池谷裕二(朝日新聞出版)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

パテカトルの万能薬は週刊朝日に連載されている時、毎週読んでいたけれども、今でも連載が続いているのかなという疑問がある。この本初版本で購入し、長い期間積読していたけれどもついに読了。この本の前に読んだ、ココロの盲点と被っている内容もある。本の内容から、ここで取り上げることは次の3点。
1、人は自分の意見だと思っていても、他人の影響を受ける。よって潔くあえて周囲に流されるという作戦もよさそう。自分の意見をもつという教えも親や教師の強制。
2、健康な高齢者は行動がぶれない、ものごとが必ずしも自分の思い通りにならないことを知っている。
3、3歳以降、神経細胞数はほぼ一定。脳細胞が歳とともに減るという説は都市伝説。

脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬

脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬

 

 

 

第13話 テストは有効、記憶力は衰えない「自分では気づかない、ココロの盲点」池谷裕二(講談社ブルーバックス)

4⭐️⭐️⭐️⭐️

池谷裕二先生の著作は面白く、欠かさず読むというここ最近の傾向。積読している期間が長かったけれども、ついに読んだよ、この作品。
心理学を齧った経験もあることから、慣れ親しんだ効果ばかり。心理学と経済学が合わさった行動経済学も脚光を浴びるようになってきて、人間って不思議、人の心のバイアスってもう非合理とか、いろいろ思うわけですが、バイアスを知り尽くして有効な一手を打ち続けるということになるのでしょう。

特筆すべきことは、
・記憶が定着するのは、テストを解くことでその知識を使ってみること
・記憶力は歳をとっても衰えないこと

 

 

第12話 ゲームの達人「Master of the GAME」(SIDNEY SHELDON)

3⭐️⭐️⭐️

洋書第3弾。理解率60%位、後半理解率落ちて、分かりやすい所と、衝撃的な所を中心に読み進めた。分からなくなっても読むのをやめなかったけれども、それが頻発して内容を掴みきれなかった。英単語の意味が分かれば劇的に改善することは分かるけれども、その数が非常に多いということ。文法、構文はほぼ分かるけれども、知らない単語が連発すると本当に分からなくなる。
中学生の時、シドニーシェルダンが流行って、「ゲームの達人」、「真夜中は別の顔」、「血族」の3作読んで、メチャクチャ面白かったという記憶はあるけれども、ゲームの達人の内容は全く覚えてなかった。

 

Master of the Game

Master of the Game